恥さらしな話を・・・パート9
震災に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
なにもできませんが、笑い話の種にでもして頂ければと思います。
尚、恥さらしな話シリーズは1~9がありますので、先にお読み頂けるとご理解して頂きやすいかもしれません。(5は恥さらしかなんとういうか・・ってタイトルです)
ひょんなことから、銀座に転勤になったあたし。
どうやら店舗の立て直しが任務のようだ・・・
異動した銀座の店舗はバカ高い家賃・・・、苦戦するのは無理もない。
ミッション完了期間まで1年。まぁ、なんとかなるだろう。
ただ、心配なのが取扱い商品である。
一通りの商品知識はあるのだが、一つだけ今まで取り扱ったことのないものが銀座にはある・・・
その商品とは「旅行」である。
確かに、旅行業界のことはよく知っているが、商品販売はしたことがない・・・
今まで旅行販売をしなかったのはなぜかしら?
なぜだかわかるかい?
旅行販売は利益率が薄い割に手続きがめちゃくちゃ多く、また、ミスをすると大変なことになるのだ。はっきりいって、面倒くさい。
出来れば実販売に携わりたくなかったのが本音である。
それに、大笑いされた記憶が苦々しく残っている。
いわゆる業界用語を知らず、大恥をかいたのだ。
海外旅行や飛行機のチケットを手配するのには名前を英語表記をしなければならない。
ただ、アルファベットは聞き間違いを防ぐため、下記のように説明する。
・A/エイブル(Able)・B/ベーカー(Baker)・C/チャーリー(Charlie)
・D/ドッグ(Dog)・E/イージー(Easy)・F/フォックス(Fox)
・G/ジョージ(George)・H/ハウ(How)・I/アイテム(Item)
・J/ジャック(Jack)・K/キング(King)・L/ラブ(Love)
・M/マイク(Mike)・N/ナンシー(Nancy)・O/オーバー(Over)
・P/ピーター(Peter)・Q/クイーン(Queen)・R/ロジャー(Rodger)
・S/シュガー(Sugar)・T/タイガー(Tiger)・U/アンクル(Uncle)
・V/ビクトリー(Victory)・W/ウイスキー(Whisky)・X/エックスレイ(X-lay)
・Y/ヨーク(York)・Z/ゼブラ(Zebra)
・D/ドッグ(Dog)・E/イージー(Easy)・F/フォックス(Fox)
・G/ジョージ(George)・H/ハウ(How)・I/アイテム(Item)
・J/ジャック(Jack)・K/キング(King)・L/ラブ(Love)
・M/マイク(Mike)・N/ナンシー(Nancy)・O/オーバー(Over)
・P/ピーター(Peter)・Q/クイーン(Queen)・R/ロジャー(Rodger)
・S/シュガー(Sugar)・T/タイガー(Tiger)・U/アンクル(Uncle)
・V/ビクトリー(Victory)・W/ウイスキー(Whisky)・X/エックスレイ(X-lay)
・Y/ヨーク(York)・Z/ゼブラ(Zebra)
以前、飛行機会社からの電話を代理で取り、伝言を頼まれた。
「チケットの手配ですが、週末様のお名前確認をお願いします」
「シュガー、ハウ、アンクル、マイク、エイブル、タイガー、シュガー、ハウ、アンクル」
「お間違えはないですか?」
なんのことかさっぱりわからず、とりあえずすべてを控えて、メモを残しておいたあたし。
その後、旅行担当者からカタカナでシュガーと書かれたメモを大笑いされたのだ。
それから、この業界用語を一生懸命覚えたのは言うまでもない・・・
簡単に確認するときは、「シュガーから週末」のように名前の頭文字だけを表したりもする。
今、思うと
この人に名は業界用語だったのかもしれない
で、銀座の話に戻る。
以前と比べ忙しくなってきたのはいいのだが、予約なしの顧客も増え始め、店舗内がバタバタすることが増えてきた。基本、接客をすることはないのだが、接客員の手が足りないとあたしも販売をしなければならない。
ただ、私は旅行販売だけは固くなにしてこなかったのだが、とうとうある日、販売せざる得ない状況になってしまった。
営業時代の取引先からVIP顧客の案内を頼まれてしまったのだ。
うううう・・・断るわけにはいかない。
ただ、行き先は「サイパン」とのこと。だからこそ指名されてしまったのだが・・・
お客様は「田中様」とおっしゃるらしく、予約を受けた電話で「心よりお待ちしております」と言いながらも内心は焦っていた。
逃げてきた旅行販売・・・だが、事前に旅行手配の必至に勉強をする。
逃げちゃだめだ逃げちゃ・・・これはもういいですね(笑)
パンフレットを細かく読みあさり、事前に出発日は聞いていたので、飛行機会社に空席問い合わせも入れる。もちろん、業界用語を使ってだ。
ばっちり、空席照会も完了し、あとは説明して手配だけすればよい状態にしておいて、来店をお待ちする。
すっかり業界用語も覚えて旅行販売に覚醒するあたし。魂のルフランも叫んでいるようだ。
おそらく、本日は最高の接客が出来るであろう。
そして、約束の時間が訪れる・・・・・
店長!田中様が来店されました。
あぁ、あたしが出よう
お客様カルテを手に持ち、カウンターへ向かうあたし。
すでにカウンターは混雑している。
待ち構える顧客達
田中様を探すあたし
ふと、一組のお客様と目があった。
あぁ、間違いない。田中様だ
向こうも気づいたようだ。
予約を入れて頂いた方には「お客様」ではなく名前で呼ぶようにしている。
がやがやした店内で、そのお客様に近づき大き目の声で呼びかける。
いらっしゃいませ
タイガー様
呼んだ?
え?
振り返る他のお客様達
やっちまったよ・・・
なまじ直前に飛行機会社と空席情報をやり取りしていたもんだから、「タイガーから田中様」が耳に残っていたのだ。
田中様には事情をお話しして、笑い話にしてくれたが。
店内でタイガーと叫んだのはあたしくらいだろう・・・
あぁ、付け焼刃はどこかでぼろが出るもんですね。
おちまい